2002 マイクロエレクトロニクスショー

「最先端実装技術・パッケージング展」報告

社団法人エレクトロニクス実装学会
展 示 委 員 会

 

1.総括
 2002マイクロエレクトロニクスショー「最先端実装技術・パッケージング展」が、4月17日(水)~19日(金)の3日間、東京流通センター・アールンE&Fホールで開催されました。
 本ショーは、各種電子機器はじめブロードバンド通信社会におけるパソコンや携帯電話、PDAなど最新のエレクトロニクス実装技術を支える基板、材料、部品、装置の開発や設計に携わる第一線技術者を中心とした最も歴史ある専門展示会です。
 今回も、国内唯一の国際会議2002ICEP(旧・IEMT/IMCシンポジウム)と同時開催し、国内外から昨年を上回る13,000名超の来場者で賑わいました。
 東京シーフォート・第一ホテルに会場を移して開催された2002ICEPでは、アジアセッションはじめ世界各国から高速高周波実装、Pbフリーはんだ実装、光MEMSを含む90もの最新研究論文が3日間に亘って発表され、これらの要素技術を具現化した本ショーとの連携が来場者の市場創出ニーズに的確に応え、心ゆくまでご堪能いただけたことは無上の喜びであります。
 本ショーでは、学会主催である特色を生かして、出展者による製品技術セミナー(旧・説明会)や招待特別講演会を他に先駆けて実施して参りましたが、今回はさらに、ナノ材料や常温接合といった最新の関心事に焦点をあてた「実装研究セミナー」を企画し、双方向で活発な討議が展開されました。恒例の製品技術セミナーは、30社からSIPやSOP、LTCCモジュールあるいは抗酸化型Cuペースト、検査・信頼性試験など豊富な情報が発信され、延べ2,800名超、特別講演3テーマを含めると3,200名超の他に類を見ない聴講者であふれ、新技術に対する真摯な探究心はまさに新たな飛躍を約束するかの如く感じられました。
 思えば、IT機器需要の一巡から未曽有の調整局面を強いられ出展環境としては大変厳しい状況ではありましたが、たゆまない実装技術進化という時代の要請に応えるべく多くの出展社から寄せられた熱意に感謝しなければなりません。
 当学会では、今回の成功を受け2003年も同会場で開催いたします。新たな企画で臨むべく一層の努力を重ねて参る所存ですので出展社、ご来場いただいた皆様ならびに関係各位のご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。

2.展示会実績
 ゆとりある東京流通センターに会場を移して2回目となり、より多くの情報に触れていただくため上下2会場を確保、1階アールンEを出展社のための展示会場に充て、2階アールンFには超先端電子技術開発機構(ASET)の研究成果である三次元光電気実装を中心とした成果物やパネルを豊富に展示する傍ら、大学コーナーも設置するなど、ゆったりしたスペースで広範な話題を提供しました。
(1)出展規模
 市況は、新事業年度に入り若干の回復基調を実感できるようになったとは言え、引き続く騰勢を期待できるほどのエネルギーなく耐乏といった局面ながら、新たなインフラともなるべき多数のご出展をいただきました。改めて感謝申し上げます。
  A展示 : 39社60小間
  B展示 : 20社21小間
  情報・大学コーナー : 国家プロジェクトASET含め15団体
(2)出展内容
 Pbフリーはんだ含む環境配慮型負荷物対策部品・材料など時流を率先意識した展示物のほか、SIPやSOPといった設計の自由度とコストパフォーマンスをアピールする提案型出展が勢揃いし、それぞれが独自性を保ちながら全体としてシステムに結びついていく様子が手にとるように伺えました。殊に、高周波回路に供するIC間光接合や真空印刷技術、部品内蔵基板を展望した特殊テープなど種々の提案はさらに充実した感がありました。
(3)来場者数
 来場者は、延べ13,126名を数え前年実績を5%上回ることができました。同時開催の2002ICEPを東京シーフォート・第一ホテルに移設した相互のタイムラグをカウントすれば、当ショーとしては上々の首尾ということになり、新設あいつぐ他の展示会が出展社数や来場者数の鈍化に直面している実態から一線を画す出来事でありました。

 

 

3.実装研究セミナー
 今回、新たに企画したセミナーで、聴くだけの講演会に業を煮やして実施したものです。これまでの受身で納得のいかない情報は、ハウ・ツウを日々求められる技術者にとっては単なる画餅に過ぎませんでした。最新で関心の高いテーマに絞り、双方向で十分に討議できる場を設けることによって相互に啓蒙し合い、新産業創出ともいうべき技術革命が我が国、広くはグローバルにもたらされることを確信したもので、新たなイヴエントの成功に意を強くしました。
発表件数:6件
聴講者数:525名(平均88名)
講演内容

17日

「実装技術におけるナノペースト・導電性ペーストの応用と展望」
   講演者/ハリマ化成(株) 筑波研究所 後藤英之氏
   コーディネータ/日本CMK(株) 猪川幸司氏
「電子デバイス用高環境安定性透明導電膜の低コスト・環境調和型製造方法」
   講演者/上村工業(株) 中央研究所 西条義司氏
   コーディネータ/デュポン(株) 梁守謹氏

18日

「常温接合と実装技術」
   講演者/東京大学 先端科学技術研究センター 須賀唯知氏
   コーディネータ/長野県工科短期大学校 傳田精一氏
「光回路実装技術」
   講演者/東海大学 電子情報学部 三上 修氏
   コーディネータ/旭硝子(株)  石丸政行氏

19日

「特許から見たSIP技術の動向-SI時代における実装技術の特許戦略」
   講演者/特許庁 特許審査第三部 大嶋洋一氏
   コーディネータ/デュポン(株) 浜口真佐樹氏
「将来の高密度三次元実装技術への挑戦と課題」
   パネラー/東北大学 小柳光正氏、(株)日立製作所 西邦彦氏、
          ASET 松井輝仁氏
   コーディネータ/ASET 盆子原学氏

 

4.招待特別講演
 毎回、製品技術セミナーのビッグイヴェントとして大学や国家プロジェクトさらには業界の代表を招いて最先端技術・情報の講演を実施しております。今回は、以下のホットなテーマについて延べ460名(平均153名)の熱心な聴講者であふれ大好評を博しました。
17日 「鉛フリーはんだ付け実装の技術展開とこれから」
     講演者/大阪大学 JIEP理事 菅沼克昭氏
18日 「ASET電子SI研究活動の中間報告」
     講演者/ASET JIEP副会長 盆子原学氏
19日 「GHz信号伝送技術とその動向」
     講演者/明星大学 JIEP参与 大塚寛治氏

 

5.製品技術セミナー
 本ショーの持ち味としてすっかり定着し、年々活発化する同セミナーにとって、今回ばかりは新企画・実装研究セミナーとの聴講者に対する求心力を問われる剣が峰となりました。しかしながら発表内容にはそれぞれ一日の長たるべきテーマが用意され聴講者の多くを引き付けるに十分でありました。
発表件数(会社数) 30件
聴講者総数 2,823名(平均94名)
発表内容 高密度実装用材料および装置、SIP、BGA&CSP実装技術・基板、半導体封止材・充填材、導電・絶縁ペースト、パッケージング治具・加工機・測定器

    

6.今後の発展に向けて
 本ショーは、半導体および周辺実装技術の総合展示会としてスタートし、優に22年の歴史を誇っています。関係各位の熱意と努力により、欧米におけるIMAPSと並び最先端高密度実装技術の追求と具現化提案あるいは情報発信の場として重要な使命を担って活動しているものです。
前回に引き続き東京流通センターで開催しましたが、皆様の期待に十分お応えすることができましたでしょうか。
ご承知のとおり本ショーは実装技術に特化し、しかも専門技術者を中心にした展示会ということで規模や来場者数を他の展示会と比較できるものではありませんが、限りなく"場"を提供するという責務を全うするためさらなる充実を図って参る所存です。
 今後とも親しまれ、信頼される展示会としてより広範な出展参画が得られるよう関係各位の暖かいご理解とご支援を心よりお願いいたします。

 

7.次回開催
2003マイクロエレクトロニクスショー
     「最先端実装技術・パッケージング展」
◎期日:2003年4月16日(水)~18日(金)
◎会場:東京流通センター