2003年11月28日、コープイン京都にて関西ワークショップ2003を開催致しました。‘実装技術の現状と課題及び将来像を幅広く自由に議論できるような場を関西で!’との声で開始いたしました本ワークショップも、今回で第8回を迎えました。当日は、時折小雨のちらつくあいにくの天候ではありましたが、110名を越える参加者をお迎えすることができ、熱気あふれる議論が各ポスター前で終日行われました。参加者も年々増加傾向にあり、関西でのワークショップとして本会が定着してきたことを実感できる機会となりました。
本年度のメインテーマは「実装革命、飛躍の兆し」と題し、北米に端を発したIT革命はアジアから大国中国へとグローバルな発展を見せる中、電子機器の軽薄短小化・高速化を具現化させる多数の実装技術が、従来の枠にとらわれない斬新な考えのもと生み出されています。これら新たな実装技術は、徐々に製品となって我々の暮らしを支え始めています。今回、昨年のメインテーマであった「実装革命、じわり進行中」の「じわり」から大きな飛躍を感じさせます。
本年度のワークショップでは、飛躍の兆しを講演・ポスターセッションで体感して頂けるよう企画し開催いたしました。
まず、関西委員会委員長の畑田氏(アトムニクス研究所)より開催の挨拶を頂きました後、日本シイエムケイ株式会社取締役 執行役員 副会長 関 亀春氏より、昨今脚光を浴びている中国でのプリント配線板事業について具体的な事例を挙げて1時間にわたりご講演を頂きました。国内の製造が中国にシフトする中、国内製造業が製品設計・実装技術で優位性を確保するためのあり方を争点とし参加者全員と議論いたしました。ご講演では、1.よいものを「世界に通用するコストで」とスローガンで中国にて製造するための最適立地場所、政府との税制補助面などの工場建設のインフラ選定について、2.よいものを製造するための中国人オペレータの思想、品質管理教育及び労働環境を中国のリーガルマインドをくんだ手法で達成したこと、3.中国での知的財産保護につい
ては一部の生産設備を完全ブラックボックス化するなどいかに生産技術の漏洩を防ぐかについて、地道な活動事例と一部泥臭い裏事情も交えながらお話頂きました。
参加者にとっては、中国進出される際のHOW TOと他社に勝ち得る力強い製品を早期に立ち上げるための手法について技術的な観点とは違う普段知り得ることのない経営者的な観点から学ぶべきことがあったかと思います。
ポスターセッションでは、実装技術のうち、薄型ウェーハ研削プロセスと三次元実装開発事例、高誘電材料をキャパシタとした受動内蔵部品回路基板、ファインピッチ化を具現化するための配線材料、層間絶縁材料及びその採用事例、鉛フリー対応の新規プロセスを用いた環境材料、短タクトを実現するための実装機、表面処理設備など中心に幅広いテーマからホットなテーマ16件を選定し、ご発表を頂きました。
午後のポスターセッション開始前より、自然に議論が開始しており、委員全員が参加者全員の関心の高さに驚き、実装分野での大きな飛躍を実感いたしました。これは半導体の高集積化がシリコンチップの配線ルールに頼るだけでなく、パッケージにもその役割を期待し、パッケージがICを収納する単なる収納容器から、受動部品機能、三次元に代表される高集積化機能などより高度な機能を付加したものにパッケージが今後変化していくことを求めている強い力を感じました。
最後、関西委員会副委員長の西田氏(インターナショナルディスプレイテクノロジー)より、今回のワークショップの総括を頂き、閉会致しました。
発表者、参加者の積極的なご討論を通して、本ワークショップの趣旨である、「参加者全員の双方向ディスカッションを通じた現状の問題解決、意見交換、将来技術への展望を獲得する」ことができ、今後の開発に実り大きいものになったと確信しております。
本ワークショップ終了後同会場にて、関西支部の設立総会が開催されました。今後とも、驚きの起点、発想の源は関西ワークショップと誰からも真っ先に紹介される会として発展してゆくことを期待しています。
最後に、本ワークショップに参加されました方々、ご講演いただきました関氏、ポスター発表を頂きました方々、企画運営にご尽力頂きました実行委員会顧問の方々、実行委員会の委員の方々、そして学会事務局の方々に心より感謝の意を表します。
今回お会い致しましたすべての方々と来年度も本ワークショップでお会いできること祈念致します。
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