ちょうどこの稿を書いている4月から5月のこのごろ、ほとんど毎日のように感じられるくらい連日激しい雷とにわか雨に見舞われた。気象情報によれば、今年はこの時期としては異常に雷雨が多発しているそうである。また、たまたま今年は平年気温を修正する年だそうで、これはこのところの株価と違い上方修正されるようで、少々暑いと感じてもそれが平年気温となってしまうようだ。これも環境による異常気候、温暖化なのだろうか。
まったくご縁のなかった私が昨年の総会から理事として当学会をお手伝いさせていただくようになったのは、実はこの環境との関わりからである。前職で環境・商品安全の推進責任者を務めていた関係で、東大・須賀先生が推進するいわゆるエコデザイン国際シンポジウム日本開催の手伝いをしたことがきっかけである。昨年2月に早稲田大学の国際会議場で開催されたこのシンポジウムは、世界各国からの発表250件、参加者500人にのぼる世界でも例のないほど盛況の会となり、あらためてエコデザインに対する世界的関心の高さが確認された。さらにこれを受けた国内版として、昨年12月開催の通産省支援による初めてのエコプロダクト展示会(東京ビッグサイト)と併催された「エコデザイン'99 ジャパン シンポジウム」では、当学会が初めて幹事学会として参画、350人ほどの参加を得て大きな成果を収めることができた。
そして、この活動において当学会が中心的役割を果たす受け皿となるべく、昨年度学会内にあらたに「エコデザイン運営委員会」が組織された。またこれと時期を同じくして、エコデザイン研究活動の横断的発表の場としてのエコデザインシンポジウム開催を中心活動とする「エコデザイン学会連合(会長・日本学術会議吉川会長)」が、今年3月に国内関連学会26団体参加により設立された。これを1つの大きな契機として、たくさんの研究者が手を取り合い、知恵を共有し合うことにより、環境調和技術開発がさらに進展加速されることが期待される。
この5月の総会で、奇しくも本誌2000年1月号の巻頭言を執筆された牧本新副会長が「日本半導体産業の現状と実装技術」と題して記念講演をされたが、当学会ではおそらく異端の文科系会員である私にとっても、非常にわかりやすく、たいへんよい勉強となるお話であった。半導体技術とそれを支える実装技術が、いかに日本の産業を世界に冠たるものにするコアコンピテンスであるかがよく理解できた。そして、最後に今後の実装技術の融合化テーマとして、「小型軽量化、高速化設計、そして環境への対応」の3つをあげられたのが印象的であった。
まさに世界をリードする実装技術において、これも当然のことながら、環境調和技術においても同じように世界に冠たる先端技術の研究開発に見事な花を咲かせていただき、またそのために、当学会が日本における中心的推進力となることを大いに期待してやまない。
(JIEP理事,富士ゼロックスオフィスサプライ)
「エレクトロニクス実装学会誌(Vol.3, No.5)」巻頭言より