GW中,今,この原稿を南那須にある父の別荘にて,昼寝をしている妻の横でノートPC を前にして書いている。周りは緑一色で,時折目をやるとワープロ入力に疲れた目を癒してくれる。このように,昨今はノートPC や携帯電話は小さくてどこにでも持って行け,どこでもいつでも仕事ができるようになった。ノートPC や携帯電話が小さくhandy になった理由の1 つに,今回全冊特集号としてとりあげていただいたフレキシブルプリント配線板(FPC) の採用があげられる。詳細は,本冊においてご執筆いただいた諸専門家の解説に譲るとして,実は小生も,大学では,FPC 関係の次世代型プリント配線板に関する電気的信頼性評価などの研究をやらせていただいている。昨今のエレクトロニクス関係の景気が向上しているのも,FPC と無縁ではあるまい。
本特集号は配線板製造技術委員会の企画によるものであり,小生が形式上は3 年前より本委員会の委員長(写真のごとく飲み会の委員長かもしれないが…)ということになっているが,実質上,本企画は委員会メンバーの和嶋委員,松本委員(日本メクトロン),珍田委員(日立電線),猪川委員(日本CMK)を中心としてまとめられたものである。昨年から企画検討が開始され,数度の委員会を経て,企画が練られてきた結果,本書の完成を見た次第である。おそらく,本書はFPC としては,初めて要領よく1 冊にまとめられた解説書と言えるのではないだろうか? ここに,上にあげさせていただいた各委員を始め,ご協力いただいた当委員会のメンバーとご執筆いただいた各専門家の先生方に改めて感謝したい。
本配線板製造技術委員会は,その傘下にマイクロファブリケーション研究会・ビルドアップ配線板研究会・配線板ロードマップ研究会と3 つの研究会を擁し,それぞれ活発な活動を展開している。その中でもマイクロファブリケーション研究会は年3 ~ 4回程度の公開研究会を実施しており,本研究会幹事・和嶋委員を中心として,時代に即した話題を企画していただいて,毎回,100 人以上収容できる回路会館地下の会場が満員になる。
ところで,日本中いや世界中どこへ行っても,ノートPC や携帯電話が持参でき,どこでも仕事ができるようになったのはいいが,そのおかげで(?)われわれは仕事からなかなか解放される場所・時間がなくなってきたようだ。これもFPC の功罪と言えるかも知れない?
冗談はこれくらいにしておいて,この4 月から私の所属する大学も含め,全国立大学が独立行政法人化した。われわれ大学人も,時代にフレキシブルに対応していかなければ,生きていけなくなった昨今であるが,面白い時代が来たと信じて,努力していきたいものだ。
緑の中にて…
配線板製造技術委員会委員長/宇都宮大学
助教授
「エレクトロニクス実装学会誌(Vol.7, No.5)」巻頭言より
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