MES2003開催報告

  2003年10月16日(木), 17日(金) / 大阪大学 コンベンションセンター


2.会議の概要
(1)招待講演
   最近の注目技術を2件,招待講演で紹介した。
   1件目は,シャープの西川氏からで,昨年発売しシェアを伸ばしている空気浄化装置で採用している「プラズマで生成したクラスターイオンを利用した空気浄化技術」に関する講演である。放電プラズマを引き起こす小型のイオン発生装置の開発が「実装技術」の主題であるが,このことよりも,このプラズマクラスターイオンの除菌効果に着眼し,エレクトロニクスとは異分野である医療分野に入り込み,大腸菌やインフルエンザウィルスを使って定量的な評価データを積み上げ,その除菌メカニズムを推論しているところに敬意を払いたい。インフルエンザの撲滅が期待できそうな興味深い話であった。
   2件目は,「ユビキタス社会を支えるミューチップ(μ-Chip)技術」について日立製作所の井村氏が講演した。冒頭,NHKの朝のニュースで放映されたミューチップの紹介VTRからスタートし,0.4mm角のごま粒大の無線チップのもつ可能性を具体的な事例を交えながら非常に分りやすくお話を頂いた。チップ内には最小限のメモリ(といっても10の38乗の数字が識別できる)と送受信機で構成され,詳細な情報はホストコンピュータが受け持つ。チップには識別番号しか書き込まないので占有面積が小さくてすみ,極小サイズで実現できる。このチップを対象製品に埋め込むことで,紙幣やブランド品の偽物防止や製品の製造から廃棄までの履歴管理,医用応用など様々な使い方が実現できる。日本が得意としたHowの技術からWhatを飛び越え,新しいコンセプトを練り上げる過程が熱く語られ,参加者に良き刺激を与えていただいた。

(東芝/齊藤雅之)

 

開催にあたって 会議の概要 セッション報告 MES2003を終えて